「長く使える机を、子どもに。」杉工場が届ける木のぬくもり


「長く使える机を、子どもに。」杉工場が届ける木のぬくもり


子どもの学習机を選ぶとき、私たちはつい「いつまで使えるか」「どんな機能があるか」といった実用面ばかりに目を向けてしまいがちです。けれど、机は単なる“勉強するための道具”ではなく、日々の成長や家族の時間をそっと支える、暮らしの一部でもあります。

ふと振り返ったとき、机の上の小さな傷や手の跡が、家族の思い出になっていた——そんな情景を思い浮かべると、家具を「長く使う」ということの意味が、少し違って見えてきます。

福岡県うきは市に工房を構える「杉工場(すぎこうじょう)」は、そうした“暮らしに寄り添う家具”を作り続けてきたブランドです。派手な装飾はなく、デザインはごくシンプル。けれどその中には、職人の手の確かさと、木がもつやさしさが息づいています。

この記事では、杉工場というブランドの背景や家具づくりの哲学、そして長く使うことで見えてくる木の魅力について、ゆっくりとご紹介します。
「学ぶ時間を過ごす机を、どんな想いで選びたいか」——その答えを、杉工場の家具がそっと教えてくれるかもしれません。


1.はじめに|「子どもにどんな机を選ぶか」は、暮らしの価値観を映す

子どもが初めて自分の机を持つとき。
それは、ただ「勉強をするための家具」を選ぶということではなく、家族にとっての大切な節目でもあります。新しい生活の始まり、学ぶ時間が生まれる場所、そして成長を見守る居場所。そんな一台をどう選ぶかは、暮らしの価値観をそのまま映し出します。

最近では、機能的で価格も手ごろな学習机が多く見られます。けれど、流行や年齢に合わせて買い替えるのではなく、「長く使える一台」を選ぶという考え方が、少しずつ広がっています。使う人の年齢に合わせて形を変えられたり、大人になっても自然と部屋に馴染むようなデザインだったり。そうした家具には、“ものを大切にする心”を育む力もあります。

福岡・うきは市に工房を構える「杉工場(すぎこうじょう)」は、まさにそんな価値観を体現する木工ブランドです。天然木の風合いを活かし、職人がひとつひとつ手仕事で仕上げる家具は、使うほどに味わいが増し、家族の思い出を刻んでいきます。
「子どもが使うからこそ、本当に安心できる素材で」「大人になっても長く使えるものを」——そんな想いをかたちにしているのが杉工場のデスクです。

家具は毎日手に触れ、生活の中に溶け込んでいくもの。だからこそ、見た目の美しさだけでなく、触れたときのやさしさや、木のぬくもりも大切にしたい。杉工場の家具には、そんな“人の暮らしに寄り添う温度”があります。

これからご紹介するのは、杉工場というブランドが生み出す家具の背景と、その魅力、そして長く使い続けられる木の机がもたらす心地よい時間について。
「使い捨てではないものを選ぶ」という考え方が、これからの暮らしを少し豊かにしてくれるかもしれません。

デスク ユニシス 幅100cm アルダー材
シェルフ ユニシス アルダー材
ワゴン ユニシス Nワゴン
学習椅子 レオ 布座

2.杉工場とは|日本の森とともに歩む家具づくり

85cm幅 デスク 1900

福岡県・うきは市。林業・製材業の町として知られるこの地で、杉工場は長い年月をかけて確かな技術と信頼を積み重ねてきました。創業から続くのは、「木のよさを生かした、長く使える家具をつくる」という一貫した姿勢。大量生産ではなく、職人が一つひとつ丁寧に仕上げる手仕事が、杉工場のものづくりの根幹にあります。

その家具づくりの特徴は、なんといっても“誠実さ”。派手な装飾や過剰なデザインではなく、素材の表情を活かした素直なかたちにこだわっています。天然木の温もりを感じられるシンプルなデザインは、どんな部屋にも自然に馴染み、子どもから大人まで世代を超えて使い続けることができます。

使用する木材は、環境に配慮しながら丁寧に選ばれたもの。日本の気候に適した木を中心に、品質や安全性を大切にしています。「人が触れる家具だからこそ、安心できる素材を使う」という考えを基本に、表面の塗装にはオイルを使用し、木本来の質感や香りを活かす仕上げを採用。長年使うほどに味わいが深まり、時間の経過とともに愛着が増していくのも魅力のひとつです。

また、杉工場の家具は、見た目の美しさだけでなく構造面でも信頼性があります。組み立てや接合には職人の手仕事が生きており、堅牢でありながら繊細なつくりが特徴。子どもが成長しても使い続けられる丈夫さは、日々の生活のなかでその価値を実感できるはずです。

寸法や材料、仕様などが細かく記された台帳。杉工場創業者の杉平三郎氏が書いたものです。裁縫机、テフル(テーブル)などの文字が読み取れます。

3.長く使える理由|シンプルな構造と、暮らしに寄り添う柔軟さ

杉工場の家具が「長く使える」と評される理由は、決してひとつではありません。
それは、頑丈さや品質の高さといった“モノとしての強さ”だけでなく、
使う人の成長や暮らし方の変化に、自然と寄り添う“しなやかさ”を備えているからです。

杉工場のデスクは、すっきりとした構造とシンプルなデザインが特長です。
一見ベーシックに見えて、実はサイズやバリエーションが非常に豊富。
幅や奥行きの異なる天板を選べたり、引き出しユニットやワゴン、上棚を自由に組み合わせることで、部屋の広さや使う人の年齢に合わせたレイアウトをつくることができます。
例えば、小学生のうちはコンパクトな形で使い、成長に合わせて棚を追加したり、兄弟で並べて使ったり。
社会人になってからも、ワークデスクとして使い続けられるほど、無駄のないデザインが魅力です。

特徴的なのは、どの家具にも「組み合わせる楽しさ」があること。
デスクと一緒に使うチェストやシェルフ、ブックスタンドなど、同シリーズで揃えると統一感があり、空間全体がやわらかくまとまります。
シンプルでフラットなデザインは、壁付けでも部屋の中央でもレイアウトしやすく、模様替えをしても雰囲気が崩れません。
木の素材感を引き立てるナチュラルな仕上げは、年月とともに少しずつ深みを増し、使い込むほどに「自分らしい家具」へと育っていきます。

子どもの学習机としてスタートし、やがて趣味のデスクや在宅ワーク用の机として役割を変えていく。
そんなふうに、使う人のライフステージとともに姿を変えられるのが、杉工場の家具の魅力です。
“長く使える家具”とは、単に丈夫で壊れないという意味ではなく、使う人の生活の変化に合わせて、かたちを変えながら寄り添い続ける存在。
杉工場のデスクは、その柔軟さと誠実なつくりで、家族の時間とともに静かに成長していきます。

デスクセット 幅100cm LG100-KS アルダー
デスクセット Kukka 幅100cm ウォールナット

■デスクセット 幅100cm LG100-KSから抜粋

4.天然木の魅力|風合いとともに育つ家具

杉工場の家具に触れると、まず感じるのは「木そのもののやさしさ」です。
天然木ならではの木目や色合いには、ひとつとして同じものがなく、まるで自然の景色を切り取ったような表情があります。見た目のあたたかさだけでなく、手に触れたときのやわらかな質感や、ほんのりと漂う木の香りが、心を落ち着かせてくれます。

杉工場では、木材がもつ個性を大切にしながら、丁寧に加工を行います。節や色の濃淡も「自然の証」として受け入れ、素材の美しさを最大限に引き出す仕上げが施されています。塗装は厚く覆うのではなく、木の呼吸を妨げないナチュラルなもの。これにより、年月を経るごとに少しずつ色が深まり、光のあたり方や使い手の手の跡によって、世界にひとつだけの風合いへと変化していきます。

こうした経年変化こそ、天然木家具の大きな魅力です。
子どもの頃に使い始めた机が、十年、二十年と時を重ねるうちに、表面にできた小さな傷や艶が、そのまま家族の思い出として刻まれていく。人工的な素材では決して得られない、時間とともに深まる味わいがそこにあります。

木は生きてきた素材だからこそ、日々の湿度や温度にもわずかに呼応し、環境に馴染んでいきます。だからこそ、暮らしの中に自然のリズムを取り戻すような心地よさがあるのです。
杉工場の家具が放つあたたかさは、単なるデザインの効果ではなく、「木とともに暮らす」という豊かさそのもの。使い続けるうちに、家の空気や人の手になじみ、まるで家族の一員のような存在になっていくのです。

シェルフ 1420 木と風 ウォールナット材
シェルフ 1420 木と風 メープル材

5.大人になっても使えるデザイン性|飽きのこない“素直なかたち”

杉工場の家具を見たとき、最初に感じるのは「シンプルな美しさ」です。
線はまっすぐで、形は極めてベーシック。装飾も、個性的な意匠もありません。けれど、そのシンプルさこそが杉工場の魅力であり、長く愛され続ける理由でもあります。

子どもが小学生のときに選んだ机が、大人になっても自然に部屋に馴染む——。
そんな光景を想像できるのは、杉工場のデザインが流行や世代に左右されない「普遍性」を持っているからです。丸みを帯びた角や、木目の優しい表情、手に触れたときの滑らかさ。そのどれもが静かで控えめながら、暮らしの中でずっと寄り添えるあたたかさを感じさせます。

この“素直なかたち”には、使う人が自由に変化を加えられる余白があります。
子ども時代には明るいナチュラルのまま、学生や社会人になったら上棚を外してすっきりと。やがて仕事机や趣味のスペースとして、パソコンや観葉植物を置く場所に。使い方や置くものが変わっても、杉工場のデスクは主張せず、静かに空間に溶け込みます。

シンプルだからこそ、どんな椅子にも、どんな照明にも合う。どんな壁色の部屋にも、自然と馴染む。家具そのものが主役になるのではなく、使う人の暮らしや人生を引き立てる——そんな存在であることが、杉工場のデザインの本質です。

そして年月を経ても古びない理由は、「流行を追わない」から。
一時のデザインではなく、「暮らしの道具」としてどうあるべきかを突き詰めた結果生まれた形だからこそ、時代が変わっても価値を失いません。
机の上でノートを開いた小さな手が、やがてパソコンを打つ手に変わっても、木の質感や引き出しの感触は変わらず、どこか懐かしさを感じさせてくれる。そんな時間の積み重ねが、使う人と家具との絆を育てていきます。

派手さよりも、静かな強さを。
杉工場の家具は、そうした「長く使えるデザイン」の原点を教えてくれます。
成長しても、環境が変わっても、ずっとそばにいてくれる存在——それは“家具”というより、“暮らしの伴走者”と呼びたくなるような存在なのです。

MUCMOC 2点セット デスク+チェア
アルダー材のランドセルラック LGY Plus

6.“長く使う”というサステナブルな選択

デスクセット Kukka 幅100cm

ものを選ぶとき、「できるだけ長く使えるものを」という考え方が、少しずつ広がっています。環境への配慮や、資源を大切にしたいという意識はもちろんのこと、ひとつのものを丁寧に使い続けることが、結果的に心の豊かさにもつながる——そんな価値観が、今の時代にあらためて見直されているのかもしれません。

杉工場の家具づくりには、その想いが自然に息づいています。
買ってすぐに使えなくなるような“消耗品”ではなく、修理しながら長く使えるように設計されていること。見た目のデザインも流行に左右されず、暮らしの変化に合わせて姿を変えられること。結果として、買い替えの必要が少なく、環境への負担も抑えられます。

無理をせず、自分たちのペースで家具と付き合っていく。使いながら少しずつ手を加えたり、配置を変えたりして、暮らしに馴染ませていく。長く使える家具とは、そうした「暮らしの変化を受け入れてくれるもの」なのだと思います。

もちろん、家具を長く使うことがすべての正解ではありません。新しいものを取り入れる楽しみも、暮らしを彩る大切な要素です。けれど、杉工場の家具のように、使い続けるほど味わいが増し、家族の時間とともに深まっていくものがあることを知っていると、選び方そのものが少し変わるかもしれません。

「長く使う」という選択は、環境のためだけでなく、自分たちの暮らしを大切にするための選択でもあります。
丁寧に作られた家具を、丁寧に使う。そこには、派手なサステナビリティのスローガンよりもずっと静かで確かな温もりがあります。
杉工場の家具は、その穏やかな豊かさを、日々の暮らしの中でそっと教えてくれる存在なのです。

サークルスツール
昇降椅子

7.杉工場の家具がもたらす、暮らしのあたたかさ

デスク 幅150cm kiva15 ウォールナット材

杉工場の家具を見ていると、不思議と心が落ち着きます。
それは、天然木の質感や手仕事の丁寧さがもたらす視覚的な安心感だけでなく、日々の生活の中で静かに寄り添ってくれる存在だからかもしれません。

たとえば、朝の光が差し込む部屋で、木の机に触れるときの感覚。
季節がめぐっても変わらない手ざわりに、ふと懐かしさを覚えることがあります。
長年使ってできた小さな傷や艶も、決して欠点ではなく、家族とともに過ごした時間の証。杉工場の家具は、そんな“経年の美しさ”を包み隠さず受け入れ、暮らしに穏やかな表情を与えてくれます。

また、木の家具は部屋の空気をやわらげ、人の心を落ち着かせる不思議な力があります。
無機質な素材では得られない温もりがあり、どんな空間にもやさしく調和します。

忙しい日々の中で、家具はつい“道具”として扱われがちですが、杉工場の家具は少し違います。
毎日使ううちに、自然と愛着が生まれ、やがて暮らしの一部になっていく。
その存在は主張しないけれど、確かにそこにあって、家族の時間や思い出を静かに受け止めてくれるような包容力があります。

杉工場の家具がもたらすのは、「便利さ」よりも「心地よさ」。
流行に流されず、長く使うほどに愛着が深まる。
そんな家具が一つあるだけで、日常の風景が少しだけあたたかくなる。
それが、杉工場のものづくりが伝えたい、本当の豊かさなのかもしれません。

8.まとめ|家具を選ぶことは、未来の暮らしを選ぶこと

子どもの成長をきっかけに、あるいは新しい生活の始まりに——家具を選ぶ瞬間には、いつも少しの期待と迷いがつきものです。けれど、その選択が「長く使えるもの」「心地よく暮らせるもの」であれば、日々の時間は静かに豊かになっていきます。

杉工場の家具は、そんな“これからの暮らし”を支える存在です。
丈夫で、シンプルで、手に取るとやさしい。けれどその奥には、作り手の確かな技術と、素材への深い敬意が息づいています。使う人の成長や生活の変化を受け入れながら、少しずつ姿を変え、色を重ねていく。その過程そのものが、家具と人との時間を紡いでいく物語になります。

「長く使う」という言葉は、単に“丈夫で壊れない”という意味ではありません。
それは、ものと暮らしを大切にする姿勢であり、日々の中に静かな喜びを見つける感性でもあります。
杉工場の机の上で過ごす何気ない時間——子どもが文字を覚える瞬間、家族の会話、あるいは仕事に向き合う夜。そうした一つひとつが積み重なっていくことで、家具はただの道具ではなく、人生の風景の一部になっていきます。

時代が変わっても、変わらない価値をもつもの。
杉工場の家具は、それを形にしている存在です。
派手ではなく、静かで、けれど確かにあたたかい。
そんな家具が、これからの暮らしをやさしく支えてくれる——そのことを、杉工場のデスクを通して感じていただけたらと思います。

無塗装 ひのきのデスク 幅100cm