転倒リスクを減らす!高齢者にやさしい家具と住まいの改善方法


転倒リスクを減らす!高齢者にやさしい家具と住まいの改善方法


年齢を重ねると、体力や筋力は少しずつ変化していきます。
今まで当たり前にできていた「立ち上がる」「座る」「歩く」といった動作に違和感や負担を感じるようになると、外出や家事への意欲も次第に薄れてしまいます。

その背景には「転倒への不安」があります。
暮らしの中で何気ない瞬間に訪れる小さな不安は、ご本人にとって大きなストレスであるだけでなく、ご家族にとっても「もし転んだらどうしよう」という心配の種となります。

けれども、こうした不安は避けられないものではありません。
住まいを少し整えるだけで、安全性と快適さは大きく変わります。
家具屋の視点からも、特別な介護用品に頼らず、暮らしに溶け込むアイテムを取り入れることで、生活の質を高めることができるのです。


1.小さな不安が大きなリスクに変わるとき

「玄関で靴を履こうとしてふらついてしまった」
「食卓で立ち上がるとき、思わず『よっこいしょ』と声を出してしまう」
「夜中にトイレへ行くとき、廊下の壁に手をつかないと歩けない」

こうした日常の小さな不便や不安は、多くの高齢者にとって身近なものです。
ご本人にとっては「少し心配」で済むかもしれませんが、ご家族から見れば「いつか転倒してしまうのではないか」という不安が常につきまといます。

厚生労働省のデータによれば、高齢者が要介護状態になる原因の第1位は「転倒・骨折」です。
わずかなつまずきやバランスの崩れが、その後の生活に大きな影響を及ぼすことは決して珍しくありません。
転倒がきっかけで骨折し、入院やリハビリを経て、以前のような生活に戻れなくなるケースも少なくないのです。

しかし、家具やインテリアのちょっとした工夫によって、転倒のリスクは大幅に減らすことができます。
例えば玄関に小さなスツールを置くだけで「安心して靴を履ける」と外出の習慣が戻る方もいますし、肘掛け付きの椅子を使うだけで「自分の力で立ち上がれる」と自信を取り戻す方もいます。

こうした家具は「いかにも介護用品」という雰囲気ではなく、暮らしに自然になじむデザインが増えています。
そのため、ご本人も抵抗なく使え、ご家族も気軽に取り入れやすいのが特徴です。

大切なのは「まだ大丈夫」と先延ばしにしないことです。
小さな違和感や不安を覚えたときが、暮らしを見直すチャンス。
家具屋としての経験からも、ちょっとした工夫で生活が一変するケースを数多く見てきました。

小さな改善が「転倒予防」「介護予防」につながり、ご本人の自信、ご家族の安心を支えることをお伝えできれば幸いです。

2.玄関での立ち座りをサポートする工夫

玄関は外出や帰宅のたびに必ず使う場所です。
特に靴の脱ぎ履きには立ったり座ったりといった動作が多く、バランスを崩す方も少なくありません。

ある70代の女性は「靴を履こうとしたときに壁に手をついても安定せず、外出自体がおっくうになっていた」と話してくださいました。
しかし、玄関にコンパクトなスツールを置いたところ「腰を掛けながらゆっくり靴を履けるようになり、気持ちまで軽くなった」とのことでした。

スツールを選ぶ際のポイントは、

・軽くて移動しやすいこと(掃除や来客対応時に便利)

・天然木やラタンなど温かみのある素材(玄関になじみやすい)

・座面が回転するタイプ(体の向きを変えやすく立ち上がりが楽)

・棚付きのデザイン(スリッパや靴べらを収納でき省スペース)

家具としての美観と実用性を兼ね備えたスツールは、「介護用品」っぽさがなくインテリアに自然に馴染むため、ご家族も取り入れやすいのが特徴です。

スペースに余裕がある場合はベンチもおすすめです。
手荷物などを置くようにすれば忘れ物の防止にもなりますし、来客の際はちょっと腰掛けてもらうこともできます。

サポートチェア クレソン 完成品
木製肘付スツール W-5H 完成品
TEORI 竹のエントランススツール TENSION
木製スツール New Clover スタッキング

3.食卓での立ち座りをラクにする「ケアチェア」

食卓は家族が集う場所。
けれども「椅子から立ち上がるのが大変」と感じると、食事の時間そのものが負担になってしまいます。

実際に80代の男性のお客様は「普通の椅子では立ち上がるたびに妻に支えてもらっていた」とのこと。
ケアチェアを導入したところ「自分で立ち上がれることがこんなにうれしいとは思わなかった」と語ってくださいました。

ケアチェアは、

・握りやすい肘掛け形状で、手の力を活かして立ち上がれる

・座面が回転するタイプなら、椅子を引かずにテーブルから離れられる

・キャスター付きなら移動もスムーズ

「自分でできる」ことが増えると、食卓の時間が再び楽しみに変わります。
これはQOL向上に直結する大きなポイントです。

ケアチェアシリーズのスタンダードモデル。立ち座りのしやすさと座り心地の良さに定評あり。耐アルコール・耐次亜塩素酸対応の張地だから、施設でのご利用もOK。
スタンダードモデルの機能はそのままに、背の高い方が使いやすいよう、座面がやや高めに設計されています。
室内の移動に便利なキャスター付き。車椅子と違い見た目は一般的なダイニングチェアに近いので、食事の際にも使用者の方が家族のだんらんに自然に加わることができます。
椅子を大きく引かなくても、くるっと回転させるだけでテーブルからの移動がしやすい。安全ロックで固定できるから、不意に動いて事故につながる心配がありません。

4.廊下や階段の安全確保 ― 手すりの設置

廊下や階段は転倒リスクが高い場所です。
特に夜間の移動や荷物を持っての移動では危険が伴います。

「夜中にトイレへ行くときに壁を伝って歩いている」という声はよく聞きます。
こうした場面で手すりがあるかないかは大きな差になります。

手すりを設置したお客様からは「歩幅が安定して歩けるようになった」「階段の上り下りに不安がなくなった」といった声を多くいただきます。

当店では家具販売だけでなく手すり工事も請け負っており、住まいに合わせた設置が可能です。
「家具屋なのに工事も?」と驚かれることもありますが、暮らしを支える提案のひとつとして力を入れています。

階段の手すりの取り付け工事

5.転倒を防ぐ床材選び ― カーペットとラグ

床に敷いたラグやカーペットはお部屋の雰囲気を変えるアイテムですが、実は転倒の原因になることも。
特に「小さめのラグを敷いて端がめくれる」状態は非常に危険です。

以前、70代のご夫婦のお宅で「ラグの端に足を引っかけて転んだことがある」という相談がありました。
そこで薄手でしっかりとしたカーペットを部屋いっぱいに敷き詰めたところ「足元の安定感が違う。歩きやすいし、安心できる」との感想をいただきました。

カーペットは防音や断熱の効果もあるため、生活の快適さも同時に向上します。
安全性と居心地の両方を満たす選択肢といえるでしょう。

当店では採寸から設置まで行うオーダーカーペットを取り扱っています。
お気軽にご相談ください。

床にタイルカーペットを敷き詰めるのも効果的です。

6.洗面所に置くなら ― 通気性の良いスツール

洗面所は水気が多く、滑りやすい場所です。
「朝の支度中にふらついてヒヤッとした」という声もよく聞きます。

そこで活躍するのが、ラタン製のスツールです。
通気性が良いため清潔に保ちやすく、狭いスペースでも邪魔になりにくいのが特徴。
実際に導入した方からは「腰掛けながら歯磨きできるので安心」「洗顔も楽になった」と喜ばれています。

介護を必要とするご家庭でも、介助の際に腰掛けてもらうことで介助者の負担が減るメリットもあります。

ラタン スツール C4121
ラタン スツール BREEZE C429

7.さらに安心・快適な暮らしのための工夫

家具だけでなく、住まい全体を少し見直すことでさらに安全性は高まります。

・照明:廊下や階段にフットライトを設置すれば、夜間の移動が安全に。

・ベッド周り:立ち上がりやすい高さのベッドやベッドサイドの手すりで、夜中の起き上がりも安心。

・収納:高い場所に物を置かず、腰の高さに収納をまとめることで、踏み台不要の安全な暮らしに。

手すりやスロープの設置となると大掛かりな工事が必要となりますが、そこまでしなくても生活を快適にすることができます。
ぜひビッグモリーズにご相談ください。

8.まとめ

立ち座りや移動に不安を覚えるのは自然なことですが、それを放置してしまうと「外出を控える」「人と会うのが億劫になる」と生活範囲が狭まり、心身の健康に影響が及びます。

しかし、スツールやケアチェア、手すり、カーペットなどを取り入れるだけで、住まいは「不安な場所」から「安心できる居心地の良い空間」へと変わります。
安全に過ごせる環境は「自分でできる」という自信を取り戻し、ご家族の安心にもつながります。

家具は単なる生活道具ではなく、人生の質を高めるパートナーです。
当店ではその視点から、お客様一人ひとりの暮らしに合わせた提案を行っています。
ぜひ気になるアイテムから取り入れ、安心で快適な暮らしを実現してください。