ガス圧式オフィスチェアの油漏れ|修理はできる?買い替えの判断とおすすめの選び方


ガス圧式オフィスチェアの油漏れ
修理はできる?買い替えの判断とおすすめの選び方


かつては「高さが変えられるって便利!」と喜んで使っていたガス圧式のオフィスチェア。
でもある日ふと座ってみたら、座面がゆっくり沈みこんだり、床に黒いシミができていたり…そんな異変を感じたことはありませんか?
実はその原因、「ガスシリンダーからのオイル漏れ」かもしれません。
今回は、家具店の立場から、ガス圧チェアに起こりやすいトラブルのひとつ「油漏れ」について詳しくご紹介します。
症状の見分け方から修理の可否、買い替え時のヒントまで、安心して椅子選びができるような情報をお届けします。


1. ガス圧式チェアとは?仕組みとメリットをわかりやすく解説

オフィスや自宅で使っている椅子、レバーひとつでスッと高さが変えられるタイプをお使いではありませんか?
それは「ガス圧式チェア」と呼ばれるもので、現在では一般的な回転椅子の多くがこの仕組みを採用しています。

では、ガス圧式とはどんな仕組みなのでしょうか。
座面の下にある円柱状の部品、これが「ガスシリンダー(ガススプリング)」です。
内部には加圧された窒素ガスと潤滑オイルが封入されており、レバー操作によってガスの圧力を調整し、高さを上下させる仕組みになっています。

ガス圧式のチェアの魅力は、なんといってもその操作のしやすさと快適さ。
立ったり座ったりの動作に合わせてワンタッチで高さを調整できるので、自分に合った姿勢を保ちやすく、長時間座っても疲れにくいのが特徴です。

また、昇降だけでなくスムーズな回転やリクライニング機能が備わっているものも多く、仕事や勉強の効率アップにもつながります。
家庭用のパソコンチェアから、プロ仕様のオフィスチェアまで幅広いラインナップがあるのも嬉しいところですね。

ただし、この便利な機能の裏には、ガスとオイルによって成り立っている“精密な構造”があるということも知っておいてほしいポイントです。
とくに潤滑オイルは、長年の使用や環境の影響によって徐々に劣化し、まれに「油漏れ」という形で不具合が現れることがあります。

油漏れが起きると、床にシミができたり、座面が勝手に沈んでしまったりといったトラブルにつながることも。
ですから、ガス圧式チェアを安心して使うためには、定期的なチェックや適切な製品選びがとても大切なのです。

2. 椅子の脚元に油が…それ、ガスシリンダーの油漏れかも

いつも通り使っていた椅子の脚元に、ふと目をやると「なんだか床がベタついてる…」「黒っぽいシミがある…」と気づいたことはありませんか?
それ、もしかしたらガス圧シリンダーからの油漏れかもしれません。

ガス圧式チェアの昇降機能は、シリンダー内部の窒素ガスと潤滑オイルによって成り立っています。
潤滑オイルは、金属同士の摩擦を減らす役割を担っており、スムーズな動きを保つために欠かせない存在です。

しかし、使い続けるうちに内部のパッキン(密閉ゴム)が劣化すると、少しずつオイルがにじみ出ることがあります。
特に、長年使用しているチェアや、直射日光・高温多湿など過酷な環境下にある椅子では起こりやすい現象です。

漏れたオイルは、時間とともに床に広がって黒ずんだシミになることもあり、見た目にも気になるだけでなく、滑って転倒するリスクも。
とくにフローリングやカーペットなど、吸い込みやすい素材の床では注意が必要です。

「最初はほんの少しのシミだったのに、気づいたら広がっていた…」というケースも少なくありません。
もし椅子の下に違和感を覚えたら、まずはガスシリンダー周辺を目視でチェックしてみましょう。

3. ガス圧チェアの油漏れはなぜ起きる?主な原因とは

では、なぜこのような現象が起こるのでしょうか。いくつかの主な原因を見ていきましょう。

まずひとつは、パーツの経年劣化です。
ガスシリンダー内部には密閉性を保つためのゴム製パッキンが使われていますが、使用年数の経過とともにこのゴムが劣化し、徐々に密閉力が低下してオイルが漏れ出してしまいます。
特に毎日使用する椅子では、5〜7年を過ぎたあたりからトラブルが起きやすくなります。

次に、使用環境の影響も見逃せません。
たとえば、直射日光が当たる場所や室温が高くなりやすい部屋では、ガスやオイルが膨張・劣化しやすくなり、内部圧力の変化で漏れが発生することがあります。
また、冷暖房の風が直接当たる場所なども、長期的に見ると椅子に負担がかかる要因に。

さらに、使用方法の問題も一因になります。
勢いよく座ったり、過度な荷重をかけたりすると、シリンダー内部に大きな圧力がかかり、パッキンが傷んだり変形してしまうことがあります。
座面の高さを頻繁に変える方ほど、内部機構への負担も大きくなりやすい傾向があります。

これらの原因が重なることで、ガス圧チェアの油漏れは徐々に進行していきます。
少しの漏れでも、内部の潤滑機能が低下していくと、やがて昇降機能の不具合やガス抜けといったトラブルに発展してしまいます。

4. 油漏れが起きたらどうする?まず確認したいポイント

椅子の脚元に油のようなシミを見つけたら、慌てずにまず状況を確認することが大切です。
ガス圧チェアからの油漏れは、軽度なにじみ程度のものから、機能に支障をきたすものまでさまざま。

まず確認したいのは、どこから漏れているか。
座面の真下にある金属の筒(ガスシリンダー)付近にオイルがついている場合は、内部のパッキンが劣化している可能性が高いです。
少量であれば使用自体にすぐの影響は出ないこともありますが、昇降操作に違和感がある場合や、座面が勝手に下がってくる場合は注意が必要です。

次に見るべきは、椅子の使用年数。
購入から5年以上経っている場合、部品の劣化によるトラブルが起きやすくなっています。
もし保証期間内であれば、メーカーに問い合わせることで修理や交換に対応してもらえる可能性があります。

ただし、実際のところガス圧シリンダーの修理は難しく、ほとんどのケースで「修理不可」または「部品交換より買い替えの方が安い」と判断されるのが現状です。
特にホームセンターなどで販売されている低価格のチェアは、交換パーツの供給がなく、修理そのものが前提とされていない商品も多くあります。

一時的に漏れたオイルを拭き取り、床の保護としてマットを敷くなどの応急処置も可能ですが、基本的には速やかに使用を中止し、買い替えを視野に入れることをおすすめします。

5. ガス圧チェアの修理はできる?家具屋の本音でお答えします

「油漏れしたけど、修理して使い続けられないかな?」
お客様からよくいただくご相談のひとつです。
ですが、家具屋の視点から正直にお話しすると――ガス圧チェアの修理は、ほとんどの場合“現実的ではない”のが実情です。

ガス圧チェアの昇降機能の要である「ガスシリンダー」は、精密に密閉された構造になっており、内部には高圧のガスとオイルが封入されています。
このシリンダー単体での部品販売は限られており、たとえ取り寄せられたとしても、交換には専用の工具や高い作業技術が必要です。

また、家庭用や低価格帯の椅子の場合、そもそも部品交換を前提として設計されていないことも多く、メーカー自体が修理対応を行っていないケースも少なくありません。
つまり、「ガスシリンダーがダメになったら、椅子ごと買い替え」が一般的な対応になります。

「もったいない」と思われるかもしれませんが、無理に使い続けてしまうと、座面が急に沈んだり、転倒のリスクが高まったりと、安全面でも不安が残ります。
油漏れは“寿命のサイン”と受け止めて、安心・安全な製品への買い替えを検討するタイミングだと考えていただくのがよいでしょう。

6. 8年保証の安心感!JOIFA認定チェアという選択肢

毎日のように使うワークチェア。
長時間座るからこそ、身体への負担が少なく、安心して使えるものを選びたいですよね。そこでおすすめしたいのが、日本オフィス家具協会(JOIFA)認定のチェアです。

JOIFAとは、国内の信頼あるオフィス家具メーカーが加盟する業界団体で、製品の安全性・耐久性・環境配慮など、さまざまな基準をクリアした商品に対して認定マークを発行しています。
中でも、回転チェアに関しては「8年保証」という手厚い保証制度が設けられており、その品質の高さがうかがえます。

この「8年保証」、実はとても重要なポイント。
ガス圧チェアにとって、ガスシリンダーの故障や油漏れといったトラブルは避けられない“消耗”のひとつ。
しかし、JOIFA認定の製品であれば、万が一の不具合にも修理・部品交換といった対応が可能で、長く安心して使い続けることができます。

一方で、ホームセンターやネット通販などで手軽に購入できる安価なノンブランドチェアの場合、見た目は同じようでも中身の品質や耐久性に大きな差があります。
こうした製品は、初期不良や数年での故障も珍しくなく、しかも部品の供給がなく修理できないことがほとんど。
結果的に、「買い替えを繰り返して余計に高くついた…」という声も多く聞かれます。

特に在宅ワークや長時間のパソコン作業などで椅子に座る時間が増えている今、自分の身体を預ける椅子こそ、信頼できる基準で選ぶべきだと私たちは考えています。

もちろん、JOIFA認定のチェアは決して激安とはいえませんが、それでも「8年間の安心」と「修理できる構造」であることを考えれば、コストパフォーマンスは非常に高いと言えるでしょう。
初期費用以上の価値が、きっと長く使う中で実感いただけるはずです。

7. 長く使えるチェアの選び方|見るべきポイントはここ!

椅子選びで失敗しないためには、「見た目」や「価格」だけでなく、中身=構造や品質に目を向けることが大切です。
とくに長く使いたい方には、次のようなポイントを意識して選ぶことをおすすめします。

まず注目したいのが、ガスシリンダーの品質と保証。
昇降機能の要となる部分なので、JOIFA認定マークの有無や、メーカーの保証年数を確認しておきましょう。JOIFA認定チェアであれば、8年保証が付いているため安心です。

次にチェックしたいのは、フレームやキャスターの素材。
スチール製や強化樹脂製の脚部は耐久性が高く、長期間使用してもグラつきにくい構造になっています。
キャスター部分も、床材との相性や交換可能かどうかを見ておくと安心です。

また、座面や背もたれのクッション性・張地の素材も重要です。
クッションがへたりにくいウレタン素材や、通気性のあるメッシュ地などは、長時間の使用でも快適性が持続します。
合成皮革は見た目は高級感がありますが、使い方によってはひび割れが早まることもあるため注意が必要です。

さらに、補修用パーツの供給体制やメーカーのサポート体制があるかどうかも、見逃してはいけないポイント。
信頼できる国内メーカーであれば、数年後でも部品交換に対応してくれるケースが多く、長く使える安心感があります。

一見地味なチェックポイントですが、これらを意識するだけで「数年で使えなくなった…」という事態を防ぐことができます。

8. 毎日使うからこそ、安心できる椅子を選びたい

私たちは日々、お客様から「椅子の油が漏れてきた」「座面が下がってしまう」といったご相談をいただきます。
そのたびに、できる限りのアドバイスやサポートを行っていますが、実際にはガス圧チェアの修理が難しく、お断りせざるを得ないケースも多くあります。

家具屋として「せっかく気に入って使っていただいているのに」と思うと、とても心苦しいものです。
それでも、安全性や構造上の理由から、どうしても修理ができないことがあるのが現実です。

だからこそ、私たちは声を大にしてお伝えしたいのです。
毎日使う椅子こそ、安心して長く使えるものを選んでほしいと。
見た目や価格だけでなく、保証の有無や耐久性にも目を向けてみてください。