本当に良いチェストとは?家具屋が教える失敗しない選び方


本当に良いチェストとは?
家具屋が教える失敗しない選び方


毎日使う家具だからこそ、失敗したくない——
チェスト(タンス)は、衣類や日用品を整理するために欠かせない収納家具のひとつ。
見た目や価格で選んでしまいがちですが、実は「中身のつくり」や「使われている素材」が、長く快適に使えるかどうかの分かれ道になることも少なくありません。

このブログでは、家具のプロとしての視点から「本当にいいチェストとはどんなものか?」を丁寧にご紹介していきます。
国産・天然木にこだわった丈夫なつくりのチェスト、見えない部分の構造や素材の違い、長持ちさせるためのお手入れ方法まで、知っておくだけで家具選びに自信が持てる内容です。

「安くてもすぐに壊れるチェストじゃなくて、本当に良いものを選びたい」
そんな方にこそ、ぜひ最後まで読んでいただきたいと思います。

1.なぜ今、“本物のチェスト”が求められているのか

家の中で「片付けたい」「でも生活感は出したくない」——そんな気持ちに寄り添ってくれるのが、チェスト(タンス)という家具です。
引き出しにぽんと物をしまえば空間はすっきり。
リビングでも寝室でも、チェストはいつも暮らしを整えてくれます。
でも、だからこそ、ちょっと立ち止まって考えてみてほしいのです。

「今、使っているそのチェスト、本当に安心して長く使えるものですか?」と。

最近は、ホームセンターや量販店でも手軽に手に入るチェストが増えています。
見た目もかわいく、価格もお手頃。
けれど、軽さを重視して作られたものや、合板やプラスチックなどの人工素材を使ったチェストは、実は長く使うにはあまり向いていないこともあるんです。

湿気の多い日本の気候では、MDF(中密度繊維板)やプラスチック製のチェストはカビや変形の原因になることがあります。
さらに、引き出しに金属レールが使われていると、スムーズに動いてくれるのは最初のうちだけ。
年月とともに歪みやガタつきが出たり、最悪の場合は壊れてしまったり。
そうなると、せっかくの収納スペースがストレスの種になってしまうこともあるのです。

そんな背景から、今また「国産チェスト」「無垢材 チェスト」「レールなし チェスト」といったキーワードで探す方が増えてきています。
シンプルで丈夫なつくり、自然素材のぬくもり、そして長年使い続けても変わらない安心感。
そうした“本物の家具”が、今、静かに見直されているのです。

忙しく働く毎日。
家事に育児に、仕事に…と、あわただしく過ぎていく日々の中でも、ふと目に入る木の家具が「ほっ」と気持ちをほどいてくれる。
そんな存在があるって、ちょっと嬉しいことだと思いませんか?

チェストはただの収納ではなく、暮らしを整え、心まで整えてくれる家具。
だからこそ、「安いから」や「とりあえず」で選んでしまうのではなく、本当に良いものを選んでほしいのです。

2.当店について|タンスの製造から始まった家具屋のこだわり

昭和34年、地元新聞に掲載された大森たんす店の記事

ビッグモリーズの前身は昭和5年、たんすの製造から販売を行う「大森たんす店」から始まりました。
家具職人として修行を積んだ現社長の祖父が創業したのが始まりで、現在3代目となります。
「大森のたんすはよい。何年経っても調子がよい」と当時から評判だったようです。
家具作りから始まったからこそ、家具に関するノウハウには自信あり。
取り扱う家具の選定からシビアに見極め、お客様からの相談、修理なども積極的に対応しています。
創業者の「買う身になって作る」の理念はそのまま現在も受け継がれ、スタッフもお客様に寄り添うサービスを心掛けています。

3.チェストにレールは必要?機械部品の落とし穴

「引き出しがスーッと軽く開いて、閉めるときもカチッと気持ちいい。」
そんな印象を持たれることの多い、レール付きのチェスト。
実際、店頭で試してみると、最初の印象はとても良いかもしれません。
ですが、その“スムーズさ”がずっと続くとは限らない——ということ、意外と知られていないんです。

家具の引き出しに使われている金属レールやスライドレールは、内部に細かなパーツやバネを含んでいて、実は「消耗品」に近い存在です。
使い始めは滑らかでも、何年か使ううちに、金属疲労や歪みが出て、動きが悪くなったり、引き出しが片方だけ傾いてしまったりすることも。
最悪の場合、レールが外れてしまい、引き出し自体が使えなくなるケースもあります。

とくに小さなお子さんがいるご家庭や、衣類をたっぷり収納したい方には注意が必要です。
毎日の開け閉めや重みがレールに負荷をかけ、寿命を早めてしまうのです。

一方、昔ながらのレールなしのチェストは、引き出しと本体の木材が直接触れ合って滑る“木同士”の設計。
手で押して、手で引き出す。
その少しの手間が、実は長く使うための「余白」なのかもしれません。
シンプルな構造だからこそ壊れにくく、部品の交換や修理も必要ありません。

レール付きと違い、引き出しの動きがゆっくりなのも安心感のひとつ。
小さなお子さんのいるご家庭では、勢いよく閉めて指を挟む心配も減ります。

当店では、創業当初から「壊れにくく、永く使える家具」を大切にしてきました。
そのため、取り扱っているチェストの多くは、あえてレールを使わないシンプルな構造を採用しています。
見た目の派手さや便利さよりも、何年先もストレスなく使い続けられる安心感を大切にしているのです。

「チェスト レールなし」「レール付き チェスト 故障」といったワードで検索する方が増えているのも、それだけ実際に使ってみて困っている方が多いということの裏返しかもしれません。

ただ、高齢者の方や力の弱い方には、レールのある引出しの方が使いやすい場合もあります。
特に一番下が深引出しになったタイプは、衣類を詰め込んで重くなるため、レールのついた引出しの方が使いやすいでしょう。(そういった理由から、深引出しのみレールをつけたチェストも多数あります)
いずれの場合も適材適所であり、それぞれのメリットとデメリットを知ったうえで選択することが大切です。

4.チェストの内装材にも注目を|桐の力と底板の素材選び

チェストを選ぶとき、つい外観や引き出しの数などに目が行きがちですが、実は“内装材”も家具の質を左右する大切な要素です。
とくに毎日触れる引き出しの内部や底板の素材は、使い心地だけでなく、収納物の状態や耐久性にも大きく関わってきます。

内装材の定番「桐」の魅力とは

高級チェストの内装に圧倒的に多く使われているのが、桐(きり)材です。
その理由は、ただ“高級そう”だからではありません。桐には、他の木材にはない優れた特性が備わっているのです。

まず注目すべきは、調湿効果。
桐は繊維内に空気を多く含み、湿気が多いときには吸収し、乾燥していると放出する性質があります。
この自然な調湿作用によって、衣類や大切な布製品を湿気やカビから守ってくれるのです。

さらに、桐にはタンニンという成分が含まれており、防虫効果も非常に高いのが特徴。
昔から着物箪笥に桐が使われてきたのは、この天然の防虫力が理由のひとつ。
防虫剤に頼らずとも、衣類を守れるというのは、ナチュラル志向の方にも嬉しいポイントです。

また、桐は軽く、引き出しの開け閉めもスムーズに行えるという利点があります。
家具の中でも、使う人へのやさしさを持った素材といえるでしょう。

底板に使われる素材の種類と特徴

この他にもさまざまな素材が使われています。
素材の違いを知ることで、見えない部分の品質も見極められるようになります。

  • シナ合板
    ナチュラルで美しい木目が特徴の合板。軽量で強度もあり、木目が控え目で美しいので、主に引出しの底板に使われます。
  • パーチクルボード・MDF(中密度繊維板)
    コストを抑えた家具に使われます。木のチップや繊維を接着剤で固めた人工素材で、加工性が高く表面も滑らか。
    ただし、湿気に弱く、一度ふくらむと元に戻らない、カビが発生しやすい、接着剤由来の化学物質が気になるといったデメリットもあります。とくに湿度の高い環境での使用には注意が必要です。
  • ベニヤ板
    薄い木材を「縦横に」何層も貼り合わせた合板で、安価。
    表面が突板やプリント化粧合板があり、厚みも2.5、4、6mmなどさまざま。

素材から“使い心地”は始まっている

チェストは、衣類や日用品を守る「収納の器」です。
だからこそ、中に使われている素材の質が、暮らしの質を支えているといっても過言ではありません。

見えない部分だからこそ、手を抜かず、丁寧に作られているものを。

家具選びの際は、ぜひ“中身の素材”にも目を向けてみてくださいね。
それは、ほんの小さなこだわりかもしれませんが、長く使っていく中で「選んでよかった」と感じられる理由のひとつになるはずです。

5.避けたい素材|MDF・プラスチック製品のリスクとは

家具売り場やネットショップで「おっ、安くてかわいい」と思って手に取ったチェスト。
よく見るとその素材に「MDF」や「木質繊維板」と書かれていること、ありませんか?

見た目は木に見えるし、軽くて扱いやすい。価格も手頃。
だからこそ、知らないうちに選んでしまう方も少なくありません。
でも実は、MDFや木質繊維板のチェストには、長く使ううえで見逃せないリスクがあるのです。

MDFって何?見た目は木でも「木材」ではない

MDF(中密度繊維板)は、木材を繊維状にほぐして接着剤で固めた、いわば“木風の人工素材”
表面を美しく仕上げやすいため、家具や建材に広く使われていますが、無垢材とはまったく性質が異なります。

とくに注意したいのが湿気との相性の悪さです。
MDFはスポンジのように湿気を吸いやすく、一度ふくらんでしまうと元には戻りません。
さらに、空気中の水分を吸っている状態はカビの大好物。
クローゼットの中や寝室など、湿気のたまりやすい場所で使うとカビが生えやすくなり、衣類や肌着を収納するには不向きです。

また、MDFは繊維を接着するために大量の接着剤が使われており、そこに含まれる化学物質(ホルムアルデヒドなど)が空気中に放出されることも。
アレルギーや化学物質過敏症を引き起こす原因となる可能性があるため、小さなお子さまがいるご家庭や、健康に気を配る方には特に注意していただきたい素材です。

プラスチック製チェストもリスクがある?

MDFと並んでよく見かけるのが、プラスチック製のチェストです。
軽くて移動も簡単、掃除もしやすい——確かにメリットもありますが、長期的に見ると不安の多い素材でもあります。

プラスチックは温度変化に弱く、劣化しやすいという性質があります。
夏場の高温や直射日光が当たる場所では変形やひび割れが起こることも。
また、静電気を帯びやすく、ホコリが付きやすい・取れにくいというのも地味にストレスになるポイントです。

さらに、通気性がないため内部が蒸れやすく、気がついたらカビが…ということも少なくありません。
これでは、大切な洋服やお子さまの肌着などを安心してしまっておくことができませんよね。

“安さ”ではなく、“安心”で選ぶということ

当店では、こうした素材のリスクをきちんとお伝えしたうえで、芯材に天然木を使用したチェストをおすすめしています。
無垢材や天然木は湿気にも強く、調湿性を持つものも多いため、カビが発生しにくく、衣類や肌着を安心して収納できます。

そして、何よりの魅力は健康へのやさしさ。
天然木を使った家具は接着剤の使用を最小限に抑えることができるため、シックハウス症候群やアレルギーの心配が少ない、身体にやさしい家具として、当店でも力を入れているポイントです。

お子さんの衣類や、大切な人の肌にふれるものをしまうからこそ、素材選びは“愛情”そのもの。
本当に信頼できるチェストを、暮らしの中に取り入れてみませんか?

6.“丈夫なチェスト”の見分け方|構造に隠された職人の技

チェストは毎日のように開け閉めするものだからこそ、“丈夫さ”や“使いやすさ”がとても大切です。
けれど、家具選びに慣れていないと「どれがしっかりした作りなのか、見た目だけじゃわからない…」という方も多いのではないでしょうか。

この項目では、当店が大切にしている“丈夫なチェスト”の構造のポイントについて、わかりやすくご紹介します。
見えないところにこそ、長く使える秘密が隠れているんですよ!

引出しの組み方に注目

まず注目していただきたいのが、引き出しの角の「組み方」です。
当店で扱うチェストには、「蟻組み(ありぐみ)」「ロッキング組み」と呼ばれる伝統的な技法を用いたものがあります。
これは、引出しの板をかみ合わせるように加工し、接合面積を増やすことでぐらつきにくく、外れにくい構造にするもの。

見た目は小さな工夫ですが、年月が経っても歪みにくく、繰り返しの開け閉めにも強い。
こうした技法には、手間を惜しまない職人の誠実さが息づいています。

蟻組みで組継ぎした引出し。木材の端を蟻の頭のような台形に加工し、互いに嵌め合わせて接合します。
ロッキング組みで組継ぎした引出し。接合する板同士の木口部分を凸凹状に加工し、その部分を組み合わせて接合します。

引出しが「箱組」か「箱組でない」かで大違い!?

価格が安いチェストの多くは、引き出しの前面が側板に直接貼り付けられているだけの「箱組でない」仕様です。
ぱっと見はきれいでも、このタイプは前板が外れやすく、少しの衝撃で引き出しが壊れてしまうことも。

おすすめはやはり「箱組に前板を貼り付けた」のタイプ。
しっかりと木材で一体構造に仕上げているため、見た目も美しく、耐久性も高いのが特徴です。
毎日使うものだからこそ、こうした見えない部分こそが使い心地の差になって表れるのです。

箱組した引出しに前板を取り付けたもの。外れにくく、丈夫。
側板に直接前板を張り付けたもの。安価なチェストによくみられる構造。

ベタ底構造の安心感

引出しの底板の構造も重要です。
おすすめは「ベタ底」と呼ばれる、底板が構造と、それを支える「地板」の組み合わせです。
地板が底板を面で支えてくれるので抜けにくく、滑りもスムーズです。

地板がなく枠だけで支える構造だったり、地板が途中までしかないものもありますが、使い勝手がよいとは言えません。
店頭に実物を見に行けるようなら、外側だけでなく、引出しを抜いて中までチェックしてみることをおすすめします。

 Moriの商品説明から抜粋

見えない部分にこそ「使いやすさ」が宿る

ただ“安いから”という理由で選ぶのではなく、見えない構造の質にも目を向けていただきたいと私たちは考えています。

当店では、創業時からタンス作りに携わってきた職人の知恵と技術を活かし、毎日気持ちよく使える丈夫なチェストをご提案しています。
使うたびに感じる“しっくり感”や、経年変化の美しさも、その構造があってこそ。

見た目の華やかさよりも、毎日の暮らしにそっと寄り添ってくれるような家具を。
そんな想いで、今日も丁寧にチェストをお届けしています。

7.収納力の違いを知ろう|引き出しのサイズと深さの秘密

垣板の高さと奥行きが収納量を左右する

まず注目したいのが、引き出しの中の「垣板(かきいた)」の高さ。
垣板とは、引き出しの左右の枠部分のことで、衣類を支える大切なパーツです。

安価なチェストでは、コスト削減のためにこの垣板が低く作られていることが多く、たくさん入れようとすると衣類が引き出しから飛び出してしまうことも。
さらに引出し自体の奥行きも短めに設計されている場合があり、見た目以上に物が入らないということが起こりがちです。

レール付きは便利?でも実は収納スペースが狭くなることも

「レール付きだから引き出しやすい」——そう思って選ばれる方も多いのですが、実はレールを取り付ける分だけ、引き出しの内寸(幅)が狭くなってしまうというデメリットがあります。
ほんの数センチの差と思うかもしれませんが、奥行が浅く、垣板が低く、しかもレール付きだったらどうでしょう。
そうでない製品と比べて収納量には大きな差が生まれます。

8.長く愛せるチェストのために|お手入れの基本とコツ

お気に入りのチェストを迎えたら、できるだけ長く大切に使いたいですよね。
天然木や芯材に無垢材を使ったしっかりした家具でも、日々のちょっとした工夫やお手入れ次第で、その美しさと使い心地はずっと保たれます。

ここでは、当店が大切にしている「長く愛せるチェスト」のためのお手入れのポイントをご紹介します。

カビ対策の基本は「通気性」

天然木の家具だからカビの心配はない——そう思われる方もいらっしゃいますが、実はどんな木材でも、環境によってはカビが生える可能性があるんです。
特に湿気が多い梅雨時期や、北向きのお部屋に設置している場合には注意が必要です。

なかでもやってしまいがちなのが、壁にぴったりチェストをくっつけてしまうこと。
家具と壁のあいだに空気の通り道がなくなると、湿気がたまりやすく、カビの原因に。

北向きの壁に設置する際は、壁から5cmほど離して設置するのが理想的。
たったそれだけで、空気の流れができ、湿気がたまりにくくなります。

また、季節の変わり目には、引き出しの中身を一度出して風を通すのもおすすめ。
家具にも呼吸する時間をあげるような感覚で、たまに気にかけてあげてくださいね。

引き出しが固くなったら「ろう」でケアを

長年使っていると、引き出しの滑りが悪くなったように感じることもあるかもしれません。
でも、レールを使わない当店のチェストなら、修理や取り替えではなく、ちょっとしたお手入れで元通りにすることができるんです。

おすすめなのが、市販のロウや木製家具用の滑りロウを側板の滑り部分に塗ること。
ほんの少し塗るだけで、驚くほどスムーズに引き出せるようになります。
音も静かになり、開け閉めのたびにちょっと嬉しくなるくらいの変化があるんです。

もしご家庭にミツロウがあれば、自然素材で安心ですし、木肌にも優しく使えます。
わたしたちのチェストは、そうしたちょっとした“手をかける楽しさ”も一緒に育てていけるようにと考えて作られています。

ロウ引き用 すべりロウ 丸徳イボタ 小
ロウ引き用 すべりロウ 丸徳イボタ 大

「家具と暮らす」を楽しむ心を大切に

大切なのは、完璧を求めすぎず、少しずつ寄り添っていく気持ち。
木の家具は、気候や使い方に合わせて少しずつ表情を変えていきます。
だからこそ、ときどき手をかけながら付き合っていくうちに、愛着が育ち、“私の家具”になっていくのです。

大切な衣類をしまう場所だからこそ、いつまでも気持ちよく使えるように。
これからも、家具との穏やかな時間を大切にしていきたいですね。

9.「当店おすすめチェスト4選」

ビッグモリーズでも多くのチェストを取り扱っていますが、その中でも特に自信を持っておすすめできるチェスト4選をご紹介します。
それぞれの特色やおすすめポイントも合わせてご紹介しますので、チェスト選びの参考になれば幸いです。

ビッグモリーズオリジナルのチェスト。アルダー材を使い、現代の住宅にマッチするモダンなデザインに仕上げました。日々の使いやすさ、心地よさを第一に考え、木芯・レールなし・べた底にこだわって設計した自信作です。
Moriシリーズに新たに追加されたウォールナット色。Moriの機能性はそのままに、ぐっと落ち着いた印象になりました。
引出し前板は鳥取県産の節有ひのきを使用。ナチュラル感を活かしてオイル塗装で仕上げました。蟻組みの引出しや地板の化粧仕上げなど、職人技が光る、ていねいな作り。
サイズバリエーションが豊富な国産チェスト。芯材には然木を使用。少し丸みのあるデザインが和にも洋にもマッチします。ナチュラルカラーの展開もあります。

10.本当に“いいチェスト”を選ぶということ

チェストは、ただ「物をしまう箱」ではありません。
大切な衣類や思い出、日々の暮らしの一部をそっと支えてくれる家具です。

それだけに、選ぶときには価格だけで判断してしまうのではなく、“質の良さ”や“使い続けられる安心感”にも目を向けてみてほしいと思います。

最近は、手頃な価格で手に入る家具も増えました。
便利で見た目もおしゃれ。けれど、数年後に引き出しが壊れてしまった、カビが生えてしまった、なんとなく使いづらい……と後悔の声も少なくありません。

私たちがご提案するのは、丈夫で、修理しながらでも10年、20年と使い続けられるチェスト。
引き出しのつくりや木材の選び方、見えない部分の丁寧な仕上げ。どれも、長く愛されるために必要な“基本”なのです。

ときどき「高価な家具ですね」と言われることがあります。
でも、5年ごとに買い替える家具と、20年寄り添ってくれる家具。
本当にコストパフォーマンスが高いのはどちらでしょうか?

長い目で見ると、良い家具は“高い買い物”ではなく“安心できる投資”。
毎日使うものだからこそ、開け閉めのたびに「選んでよかった」と思える心地よさを感じていただきたいと、私たちは願っています。

そしてもうひとつ。
いい家具には、使う人の暮らしを少しずつ整えてくれる力があります。
引き出しを開けたとき、きちんと畳まれた服が目に入ると、自然と気持ちが穏やかになったり。
「大切にしよう」という気持ちが、日常を少しだけ豊かにしてくれたり。

当店はもともと、タンスの製造から始まった家具屋です。
“衣類をしまう”という行為を、丁寧に、心地よくしていただきたい——
そんな想いを、ずっと大切にしてきました。

流行に左右されず、使い込むほどに味わいが増す木の家具。
機械部品に頼らず、自然の素材と手仕事で仕上げたチェストは、暮らしとともに年を重ねていくことができます。

「いい家具って、こういうことなんだ」と感じてもらえたなら、きっとそれは“自分にぴったり”の一台。

どうか、あなたの毎日に寄り添ってくれるチェストと出会えますように。
そしてその家具が、使うたびにほっとするような存在になってくれることを、私たちは心から願っています。